「いつか自分のお店を持ちたい」
そんな夢を形にする第一歩が、保健所への【飲食店営業許可】の取得です。
物件も決まり、メニューも固まり、「いよいよオープン!」という段階で意外と高いハードルになるのがこの営業許可。内装工事が終わった後に「施設基準を満たしていない」と指摘され、工事をやり直すことになれば、開業スケジュールが大きく遅れてしまう可能性もあります。
今回は、飲食店を開業する際に必ず必要となる営業許可のポイントと、スムーズに取得するための流れについてわかりやすく解説します。
1. そもそも「飲食店営業許可」とは?
飲食店営業許可とは、飲食物を調理してお客様に提供する店舗が、食品衛生法に基づき保健所から取得する必要がある営業許可です。
この制度の目的は、お客様に安全な食事を提供し、食中毒などの衛生リスクを防ぐことにあります。
また、2021年(令和3年)の食品衛生法改正により、営業許可制度が大きく見直されました。従来は「喫茶店営業」など複数の業種区分がありましたが、現在は多くの飲食店が「飲食店営業許可」に整理・統合される形になっています。
さらに現在は、すべての飲食店において「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」が義務化されています。
これは店舗ごとに衛生管理のルールを作り、日々の管理を記録していく仕組みです。
2. 許可取得のための「2つの重要な要件」
飲食店営業許可を取得するには、主に次の2つの基準を満たす必要があります。
① 「人」の要件:食品衛生責任者の設置
すべての飲食店には、食品衛生責任者を1名設置する必要があります。
食品衛生責任者になるには
・調理師
・栄養士
・製菓衛生師
などの資格があればそのまま就任できます。
これらの資格がない場合でも、各自治体が実施している1日の講習を受講することで取得可能です。
② 「施設」の要件:保健所の施設基準を満たすこと
飲食店営業許可で最もトラブルが起きやすいのが「施設基準」です。
施設基準は自治体ごとに条例で定められていますが、一般的には次のようなポイントがチェックされます。
・食器洗浄用のシンク(多くの自治体では2槽以上)
・従業員用手洗い設備(手指の再汚染を防ぐ構造)
・清掃しやすい床・壁の構造
・扉付きの食器保管設備
・冷蔵庫の温度管理
これらの基準を満たしていない場合、保健所の検査に通らず営業許可が下りません。
そのため、内装工事を始める前に、図面を持って保健所へ事前相談を行うことが非常に重要です。
3. 飲食店営業許可取得までの流れ
実際の飲食店開業では、次のような流れで許可取得を進めます。
① 物件契約
② 店舗図面の作成
③ 保健所への事前相談
④ 内装工事
⑤ 飲食店営業許可申請
⑥ 保健所の施設検査(立入検査)
⑦ 許可証交付
⑧ 営業開始
この流れの中で特に重要なのが「事前相談」と「施設設計」です。
図面の段階で基準を満たしていないと、工事完成後に修正が必要になるケースもあります。
4. 許可取得のメリット(営業開始の前提)
飲食店営業許可は義務ですが、それ以上に経営面でも重要な意味があります。
無許可営業のリスク回避
飲食店営業許可を取得せずに営業した場合、食品衛生法により
「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」
などの罰則が科される可能性があります。
融資や資金調達にも必要
日本政策金融公庫や銀行から融資を受ける場合、営業許可証の提出を求められることが一般的です。
つまり、営業許可は飲食店開業の前提条件とも言えます。
お客様からの信頼につながる
現在はSNSや口コミサイトなどで店舗の情報が簡単に広まる時代です。
適切な許可を取得し、衛生管理を行っていることは、飲食店としての信頼にも直結します。
5. 行政書士に依頼するメリットと費用相場
飲食店の開業準備では、物件契約、内装工事、メニュー開発、スタッフ採用など、やるべきことが山ほどあり、営業許可申請まで自分で行うのは、意外と大きな負担になります。
行政書士に依頼することで、次のようなメリットがあります。
図面作成や書類作成を任せられる
保健所へ提出する図面は、施設基準を満たしていることが分かる形で作成する必要があります。
行政書士に依頼することで、修正の手間ややり取りを減らすことができます。
保健所との事前相談もスムーズ
行政書士は事前相談のポイントを理解しているため、施設基準を満たした状態で申請を進めることができます。
飲食店開業に関する他の手続きも相談できる
飲食店の開業では、営業許可以外にも以下のように様々な行政手続きが関係する場合があります。
・深夜酒類提供飲食店届出
・風俗営業許可(キャバクラ等)
・法人設立
・古物商許可(リユース事業併設)
費用の目安
行政書士への報酬
4万円〜8万円程度(案件により)
保健所への手数料
1.5万円〜2万円程度(自治体により)
おわりに
飲食店の開業は、多くの人にとって人生の大きな挑戦です。
しかし営業許可の手続きでつまずいてしまうと、開業スケジュールが遅れたり、余計な工事費用が発生したりすることもあります。
「この内装で許可が取れるのか不安」
「保健所とのやり取りがよく分からない」
そんな場合は、行政手続きの専門家である行政書士に相談することで、開業準備をスムーズに進めることができます。
私も2026年秋の行政書士登録・開業に向け、地域で飲食店開業を目指す方をサポートできるよう日々勉強を重ねています。
将来、開業を検討されている方のお役に立てるよう準備を進めていきたいと思います。

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